相続でお困りですか? 登記と税金の悩み、その場で無料解決!
令和7年1月15日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
先日、「相続対策」をしたのに、その後「相続地獄」を見た著名人の記事を目にしました。記事を読み進めながら思ったことは、「それ、相続対策になってませんよ。」という箇所が多々ありました。確かに当事者として感じた世の中の矛盾は否定はしませんが、なぜもっと早く専門家に相談しなかったのかという疑問がわいてきました。文面から察するに、対策の多くが素人考えてやった「相続対策」だったことがわかりました。ただし、個人のバッシングをするつもりはないので、どう対応すれば本当の「相続対策」になったのかを解説していきたいと思います。
目次
1.はじまり
2.生前の相続対策でやった「貸金庫」への保管
3.相続財産の調査
4.まとめ
1.はじまり
この方に限らず、父親が生きている間に何らかの相続対策を打っておきたいと考える方は多いのではないでしょうか。遺産が多いと相続税申告をしなければなりません。(基礎控除がありますので、その範囲内ですと相続税は課税されません。詳しくは税理士に相談してください。)特に不動産を多くお持ちの場合は、その評価額によっては、現預金が少ない場合でも相続税申告が必要になる場合があります。相続税の申告期限は相続発生から10か月以内です。また、借金が多い場合には、相続放棄も視野に入れておかなければなりません。相続放棄には期限があり、相続開始を知りかつ、自信が相続人であることを知ったときから3か月以内です。
つまり相続手続きを見据えた前提としてあるのは、「父親の財産・債務」をできるだけ把握しておくことです。これができていないと、後に何から手を付けていいのかわからない状態になってしまいがちです。相続対策として、遺言書などが挙げられますが、父親の意思表示ができる間にしておくことが重要です。
2.生前の相続対策でやった「貸金庫」への保管
そんな中でこの方が相続対策として選択したのが「貸金庫」でした。果たして貸金庫は相続対策になるのでしょうか。重要なものを保管しておく場所として貸金庫の選択はありだと思いますが、相続対策として貸金庫はどうなんでしょうか。仮に自宅に保管していたとしても、それは相続財産であり、銀行の貸金庫に保管されていたものも相続財産です。違いはと言われると、長男が父親と同居していて父親から預かっていた証書や国債証券なんかはすでに手元にありますが、貸金庫だと相続発生後は相続人全員の同意がある場合か、遺産分割協議でどなたかに貸金庫内の財産を承継する遺産分割協議書を提出し貸金庫内の財産の帰属先がはっきりしないと、絶対に金融機関は貸金庫を開けてくれません。預貯金や有価証券なんかもそうなのですが、相続発生後のその財産の承継先がはっきりしないのに払い出しや返却をした場合、後にトラブルになる可能性があるからです。
また、貸金庫は地下や銀行窓口とは別フロアに設置されている場合が多いです。金融機関に連絡をして貸金庫の予約をし、車いすの父親を自分の車に乗せて当日出向いたら、2階まで負ぶってきてくださいと言われたと言っていましたが、事前に、父親が車いすである旨も伝えておかなければならなかったと思います。なぜなら、事前にそのような状態であることを金融機関が把握していたのであれば、車いすでも対応できる別の支店を紹介してもらえたかもしれません。
3.相続財産の調査
相続財産の調査は、金融機関から保険会社、不動産と様々です。それぞれどのように調べていくのかを確認していきましょう。
①銀行口座
父親の預金通帳やキャッシュカード類、また定期的に届く銀行からの郵便物等で取引銀行を特定し、調査の依頼をまずはしてください。そうすると、取引のある支店の情報がわかると思います。「相続預貯金等の残高証明書」を発行してくれると思います。これは、口座そのものを解約や名義を書き換えるわけではないので当該預貯金の帰属先がまだ決まっていない状態でも取得可能です。ただし申請時は、相続人の実印・印鑑証明書のほか、被相続人との間柄がわかる戸籍謄本等の書類が必要で、1通あたり500円~1,000円程度の手数料もかかります。
この証明書内には、当該銀行からの融資の情報も入っていますので、この情報を基に遺産分割協議をするのが一般的です。証券会社も同様です。
実際に名義変更や解約の手続きをする場合は、それぞれの金融機関によって、提出する書類や申請先などが異なりますので、具体的に財産の帰属先が決まってから各金融機関に問い合わせてください。
また、専門家に頼んだ場合、遺産承継業務として費用は掛かりますが、一連の手続きをサポートしてくれます。これも費用が掛かりますので、残高を確認の上検討するのが一般的です。
➁保険会社
死亡保険は基本的には相続財産にはならず、受取人の固有の財産となりますが、相続税上は、「みなし相続財産」として相続財産として算入しなければなりません。控除枠もあるので計算したうえで判断してください。
さて、保険会社からの郵便物や保険証書からどの保険に加入しているのかがわかれば、契約先の保険会社に連絡をして手続きをすればいいのですが、こういった資料がない場合にはどのように調査すればいいのでしょうか。
このような場合、「一般社団法人 生命保険協会」が提供する生命保険契約照会制度を利用することができます。これは相続や災害が発生した場合、保険証券や郵便物、口座引き落とし情報が確認できない場合に、利用料を支払うことで照会ができるシステムです。全く情報がないときに利用して、実際にどの保険会社と契約があるのかを確認することができます。ただし、対象の保険会社が「一般社団法人 生命保険協会」加入の保険会社であることが条件です。
4.まとめ
今回のお話を読んで、いろいろと感じる部分がありますし、私自身もいろいろと経験しています。しかし、今回の話の中で、相続対策が実は相続対策になっていなかったり、対応する順序が間違っていたために多大な時間を費やしたのに何も結果が出なかったケースが散見されました。また、事前の確認を怠ったために当日ひどい目に合ったりもしています。自分の目的と状況を正確に相手に伝えなければ、達成できる目的も困難な状況に追い込まれてしまいますからね。
この方も記事の中で、「何か月も走り回って対応したのに、残高たった数百円だと。ふざけるな。」とありました。そう、時間は無限ではなく有限ですし、特に重要なポジションに就かれている方なら時間の価値は相当なものであると考えます。その貴重な時間を節約するために、専門家への相談という選択肢があったのでは?と考えてしまいます。このように、すべて自分でやってしまったために、結果、時間のわりに成果が出ないということにならないように、役場などの「無料相談会」なんかを利用することをお勧めいたします。
相続対策というのは、いざ相続が発生したときに、スムーズに相続手続きに移行できるようにしておく又は、遺言書などであらかじめ帰属先を定めておくことを言います。
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