平日9時~18時 土10時~15時 時間外対応可能

最短で遺言書作成-自筆証書遺言

2023年08月22日

 ここで解説する遺言書とは、自筆証書遺言書になります。記載される条項によっては、争いの元となったり判断能力などで無効とされたりするケースがあります。このような場合は、公正証書遺言で行うのが通常ですが、どうしても自分の「想い」を残しておきたいという場合の話になります。勿論、自筆証書遺言特有のリスクはあります。

目次

1.自筆証書遺言とは

2.自筆証書遺言書の書き方

3.自筆証書遺言書の注意点

4.まとめ


1.自筆証書遺言とは

 「民法968条第1項

 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文日付及び氏名自書し、これにを押さなければならない。」とあります。

 つまり、自筆証書遺言の法的要件は、

 ①全文を自書すること

  財産目録はワープロ打ちでもよい

  (各目録には署名押印が必要になります)

 ➁日付を自書すること

  年月日を正確に記載すること

 ③氏名を自書すること(署名)

  戸籍通りに正確に

 ④押印すること

  法律上認印でもいいですが、本人が作成したという証拠能力が高まるように実印の方がいいと思います。

  ※実印の場合、遺言者が亡くなってしまうと印鑑証明書が取れなくなるので、存命中に取得して一緒に保管しておくとよいでしょう。

2.自筆証書遺言書の書き方

遺言書

 第1条 遺言者は、遺言者の有する全財産を、遺言者の妻山本一子(昭和〇〇年○月〇日生)※1に相続させる。※2

 第2条 遺言者は、本遺言の遺言執行者※3として前記山本一子を指定する。遺言者は、遺言執行者に対し、預貯金その他の相続財産の名義変更、解約及び払い戻しの権限を授与する。

 令和〇年○月〇日

  香川県高松市錦町2丁目〇※4

  遺言者 山本一夫 ㊞ 

 ※1:相続人は続柄、氏名、生年月日で特定

    相続人以外は、氏名、生年月日、住所で特定

 ※2:相続人に対しては「相続させる」

    相続人以外には「遺贈する」

 ※3:遺言執行者がいないと全相続人の実印の押印と印鑑証明書を要求する金融機関があるらしいので、遺言執行者は記載しておいた方が良い。遺言執行者は家族でもよい。

 ※4:遺言者を特定できるように住民票記載の住所も書いておいた方が良い。

3.自筆証書遺言書の注意点

 ①自筆証書遺言は書き方を間違えて無効になったり、内容が不明瞭で相続手続きに支障が出る事案が散見されます。

 ➁自筆証書遺言では相続人全員の実印を要求する金融機関もあるようです。

 自筆証書遺言書のデメリットについては、公正証書遺言を利用することである程度リスクが軽減することができますのでお勧めです。今回は、「最速で遺言書を作る方法」ですので、手軽な自筆証書遺言書で話を進めていきたいと思います。

 ③遺言執行者は相続開始後にやらなくてはならないことがあります。

  「遺言内容の相続人への通知」「財産目録交付」など法定されています。

 ④全財産を一人に相続させる内容だと、遺留分の問題は残ります。

  つまり、遺留分を侵害された相続人から請求されるリスクは残ってしまいます。

 ➄自筆証書遺言の訂正方法にも決まりがあるので、修正方法がわからないときは間違えた場合、書きなおした方がいいでしょう。

 ⑥自筆証書遺言書について、必ずしも封筒に入れて封をしなくてもよいです。封筒に入れて封をしている自筆証書遺言書は、家庭裁判所の検認の時に開封することになります。検認前に勝手に封を開けてしまうと過料を科される場合がありますのでご注意ください。

 ⑦財産を承継させる人に遺言書を預けておくか、保管してある場所を知らせておいた方がよいでしょう。法務局保管制度もあるので活用するのもいいと思います。

 ⑧金融機関の貸金庫に遺言書を保管してしまいますと、相続開始後に相続人全員の協力がないと貸金庫を開けられなくなる可能性がありますので注意が必要です。

4.まとめ

 今回は、最速で遺言書を作る方法を解説してきました。アイリス国際司法書士・行政書士事務所では、不動産の相続登記、預貯金の相続手続き、遺言書作成支援など相続関連のサービスを取り扱っております。ご依頼をご検討の方に限り、「初回無料相談」を実施しております。必要に応じてお電話、ホームページのフォームからご依頼ください。

最新のブログ記事

「法律は知っている者の味方」という考え方は、特に相続において重要な意味を持ちます。相続の手続きにおいて、法定相続人は相続財産というプラスの財産を受け取る権利だけでなく、借金などの負の遺産を引き受ける義務も存在します。つまり、相続は財産だけではなく、被相続人(亡くなった人)の負債も含む全ての資産・負債が対象となるため、「負の遺産を受けたくないが、正の財産だけ欲しい」という要求は法律上通るものではありません。

2024年4月から相続登記が義務化されることにより、不動産の相続手続きを放置することができなくなりました。これにより、相続人は不動産の名義変更を行わなければならず、多くの方が自分で相続登記を行おうと考えるケースも増えています。しかし、単純な相続ならばともかく、相続人が複数いる場合や、遺産分割協議が必要な場合には、手続きが非常に複雑化し、専門知識が求められます。こうした場面で、司法書士という専門家の存在が重要になってきます。

生前贈与は、相続税対策として広く利用されていますが、2024年(令和6年)1月1日以降の税制改正により、これまでと異なる規定が導入されました。特に「組戻し」期間の変更や課税対象に影響を与えるため、慎重に進めることが必要です。ここでは、重要な3つの注意点に絞って解説します。