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長年相続登記を放置していた場合に多く見られますが、相続登記に必要な書類の一つである、亡くなった不動産名義人の「住民票の除票の写し」又は「戸籍の附票」が取得できない場合があります。これは、令和元年6月19日までは、「住民票の除票」の保存期間が、消除された日から5年間とされていたため、長年相続登記を放置した場合、取得できないケースも発生することがあります。この場合の対処法として、どのようにすればいいのでしょうか。解説していきます。
目次
1.法定相続情報証明制度を申請する場合
2.相続登記に必要な場合の代替手段
3.まとめ
1.法定相続情報証明制度を申請する場合
法定相続情報証明制度を利用する場合、戸籍全部事項証明書、除籍謄本、改正原戸籍謄本などを取得する必要があります。多いときで10通を有に超える場合もあります。この戸籍の束をもって、各金融機関に名義変更や解約の手続きに持参するのは、非常に手間であるため、法定相続情報証明制度が、平成29年5月29日に実施されました。
この法定相続情報証明制度で証明されるのは、原則「戸籍類」の法定相続関係の証明です。住所は任意での申請になりますが、申請人の本人確認として、住民票の写しが必要になってきますので、少なくとも申請人に関しては住民票が必要になります。
任意で住所も法定相続情報証明に記載してもらうためには、それぞれ相続人の住民票、被相続人の除票が必要となります。ここで注意しなければならないのは、申請人の本人確認のために提出する住民票を原本でかねてしまいますと、法務局に申請人の住民票を取得されてしまいますので、コピーに原本に相違ない旨を記載し署名押印したものも併せて提出する点です。
先ほども書きましたように、法定相続情報証明制度で証明できる内容は、戸籍に記載されている法定相続情報がメインとなりますので、被相続人の除票や戸籍の附票がない場合、「最後の本籍」の項目で事足ります。
2.相続登記に必要な場合の代替手段
それでは、相続登記の必要書類としての住民票の除票や戸籍の附票が取得できない場合どのようにすればいいのでしょうか?
登記官が不動産の所有者の名義の同一性を確認するために「氏名」「住所」で特定します。つまり、被相続人の最後の住所と不動産名義の住所が一致しており、氏名も同じであれば同一人物との判断をしてもらえます。しかし、住所が異なる場合には注意が必要です。最後の住所の一つ前の住所であれば、住民票の除票に「前住所の表記」で確認をすることができます。しかし、それより前の住所が登記簿に記録されている場合、住民票の除票が使えません。その場合は、戸籍の附票を使って特定していきます。
しかし、令和元年6月20日以前に廃棄された場合、「除票」も「戸籍の附票」も取得はできません。この場合、以下の方法で登記官に同一性を認めていただく必要があります。
①権利証(登記済証)
権利証は、不動産に権利があることを証明する書類だからです。通常、相続登記では権利証を提出する必要はありません。相続は、相続の発生という事実の発生によって登記申請をします。不動産の持ち主は死亡した被相続人なので意思確認をしたくてもできません。
ですので、不動産の持ち主の意思を確認する必要がなく、権利証を用意する必要がないのです。権利証を提出不要にする代わりに、事実の発生を証明する戸籍謄本等を提出する必要があります。被相続人の住所の移り変わりを証明することができない場合、権利証を提出して登記簿に書いてある人であると証明することができます。被相続人の権利証を提出した場合、被相続人の住所の移り変わりを証明していませんが、権利者であると証明したことになります。
➁上申書
権利証は紛失しても再発行されません。通常は大切に保管して簡単に人目にさらしたりしないものですが、相続など大切な場面で見つけることができなくなることは多々あります。被相続人が保管していた場合、保管場所を共有していない家族が見つけられなくなるのです。権利証が見つけられない場合、権利証を提出して権利者であることを証明することはできません。権利証を提出することができない場合、相続人全員からの印鑑証明書付き上申書を提出します。上申書は「不動産の所有者は被相続人に間違いありません」という法務局宛てのお願いです。相続人全員とは、遺産分割協議に参加するべき人全員です。その財産を相続する人だけではありませんので、注意が必要です。その財産を受け取らないけど他の財産を相続する人など遺産分割協議に参加するべき人全員から上申書を提出します。遺産分割協議に参加するべき人全員が、実印で押印し印鑑証明書を添付します。印鑑証明書について期間制限はないので、古いものでも差し支えありません。
法務局によっては、上申書の他に不在住証明書や不在籍証明書が必要になります。固定資産税の納税証明書の提出が求められる場合があります。固定資産税は、一般的に所有者が負担するものだからです。固定資産税を負担していた場合、所有者であったと認めてもらいやすくなります。住所がつながらない場合などイレギュラーな場合の取り扱いは、管轄の法務局によって異なる場合があります。必ず、管轄法務局に確認をするようにしてください。
③被相続人の本籍と登記上の住所が一致する場合は住民票の除票は不要
本籍地と登記上の住所が一致する場合、法務局は同一人物と認めてくれます。あらためて、住民票の除票を提出する必要はありません。
3.まとめ
このように、相続登記を長年放置した場合、相続登記に必要な書類がすでに廃棄されているケースが少なくありません。早めの相続登記を心掛けるようにしてください。
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