平日9時~18時 土10時~15時 時間外対応可能

相続登記義務化の過料を免れる「相続人申告登記」

2024年03月25日

相続登記義務化は、所有者不明土地問題から議論され出てきたものです。義務化されたことで罰則である「過料」が設定されました。一定の要件を充たすことで、過料を免れることとはなるのですが、その後、相続登記の義務まで免れるわけではありません。他にどのような手段があるのでしょうか。相続登記義務化の罰則である過料を免れる方法として、簡素化した手続きの「相続人申告登記」があります。過料は免れますが、他に問題はないのでしょうか?

目次

1.相続登記義務化

2.過料を免れるための「相続人申告登記」

3.相続人申告登記で相続登記は免れるが・・・

4.まとめ


1.相続登記義務化

 2024年4月1日より、「相続登記義務化」が始まります。いままで、相続登記は義務化されていませんでした。それにより、東日本大震災後の復興の際、所有者が不明の土地があるため、復興作業が難航したということがあり、法改正も含め、「相続登記義務化」の検討が始まりました。義務化という言葉通り、罰則が存在します。

 「(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。」法務省HP引用

2.過料を免れるための「相続人申告登記」

「相続人申告登記」を法務局に申請することで過料は回避することができます。

 「相続人申告登記」とは、登記官に対し、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」 もしくは「自らが当該所有権の登記名義人の相 続人である旨」を申し出ることにより、登記官 が職権(登記官が登記をすること)で当該申し出をした者の氏名および住所 等を所有権の登記に付記する制度です。

 実際に、相続人申告登記をした場合の登記簿では、以下のように表示されることになります。

(画像)相続人申告登記の登記簿のイメージ

 この制度は、相続人のうち一人が相続人申告登記をした場合であっても、その効果は他の相続人にまで及びません。よって、一人ずつ申し出をする必要があります。相続人のうちの一人が相続人申告登記をすれば、他の相続人についても、あわせて「申出がされたものとみなすべきでは」、と議論はされたようですが、詳細な戸籍謄本等の提出は求めず、申し出をした人の氏名、住所等を付記するにとどめる簡単な制度にするという制度趣旨から、個人単位での申出が必要になりました。ただし、他の相続人から委任を受け、代理人として代表者1名が全ての相続人全員分の申し出を行うことは可能です。この申し出につきましては、法務局に収める申請費用はかかりません。

3.相続人申告登記で相続登記は免れるが・・・

  この申出により、相続を原因とする所有権移転登記を申請する義務を履行したものと見なされます。しかし、この状態のままでは、相続登記義務化の過料を免れることはできますが、当該不動産を売買で処分することはできませんので注意が必要です。最終的には、遺産分割協議を経て、当該不動産の所有者を確定させて後に相続登記をすることが必要になってきます。

4.まとめ

 「相続人申告登記」は、相続登記義務化の過料を免れるためには、有効な手段となりますが、相続登記自体を免れるわけではないので、注意が必要です。

 相続登記自体を免れないとは、例えば、相続した不動産が、すでに誰もすまなくなってしまっているような場合、「売却」を考えている方もいらっしゃると思いますが、こういった不動産の処分をするためには、相続登記を経て行わなければならなくなるためです。

 早めの対策・対応をとることが相続を円滑に進めるコツだと考えます。

 アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。

 また、別事務所で「相続法律・税務無料相談会」を月1で実施しております。こちらは完全予約制になっておりますので、必ず事前に電話で予約状況を確認の上、予約を確定してください。

最新のブログ記事

東洋哲学は、アジア地域を中心としたさまざまな哲学的伝統や思想体系の総称で、特に中国、インド、日本、韓国などの古代から続く思想がその主軸となっています。これらの哲学は、西洋哲学とは異なる視点から世界や人間の本質、そして倫理や道徳について考察しており、しばしば自然との調和や内的修養を重んじる特徴があります。ここでは、東洋哲学の主要な教えとその詳細について探っていきます。

不動産登記簿に記載されている名義人の住所が、平成の大合併前の古い住所である場合、その住所の扱いには地域によって違いが生じることがあります。特に香川県の法務局では、「読み替え」という取り扱いが行われることがあり、この措置により、住所変更登記をせずに、登記簿上の旧住所が新しい住所として認められる場合があります。この記事では、不動産登記簿に記載された名義人の住所に関連する手続きの概要について、以下の2つのポイントを中心に説明します。

相続手続きにおいて、被相続人名義の不動産登記簿上の住所が現在の住所や証明書類とつながらない場合、特定の対応が必要となります。通常、住所の証明には住民票の除票や戸籍の附票が利用されますが、これらが廃棄されている場合もあります。特に、除票や附票は保存期間が限られており、令和元年6月20日以前は、除票、附票は5年で廃棄されていたため、長期間経過している場合、これらの書類を取得することができませんでした。そのような場合でも、いくつかの代替手段が存在します。本記事では、住所を証明するための方法と、それが困難な場合に取られる追加の手段について解説します。令和元年6月20日以降は150年間と変更されました。