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学習や記憶の分野において、効率的な学習方法の探求は長い歴史があります。ここでは、デュアルコーディング学習法(Dual Coding Theory)と、マルチプルコーディング学習法(Multiple Coding Learning)について紹介し、司法書士試験に取り入れられた実体験に基づく方法論についても説明します。
目次
1. デュアルコーディング学習法(Dual Coding Theory)
2. マルチプルコーディング学習法(Multiple Coding Learning)
3. 司法書士試験への応用(実体験)
4. デュアルコーディングとマルチプルコーディングの相互補完性
5. まとめ
1. デュアルコーディング学習法(Dual Coding Theory)
デュアルコーディング学習法は、1960年代にアラン・パイビオ(Allan Paivio)によって提唱された理論であり、人間の記憶における二重符号化プロセスを活用する学習法です。この理論は、記憶が視覚情報と言語情報の二つのチャンネルで処理されるという考えに基づいています。具体的には、以下のような点が特徴です。
視覚情報と言語情報を同時に処理: たとえば、文章と画像を組み合わせて学ぶことによって、脳はその情報を二重に符号化し、記憶の定着が強化されます。これにより、単一の形式で学習するよりも、より深い理解と長期的な記憶が期待できます。
具体例: 試験勉強では、テキストの内容を読みながら、関連する図やフローチャートなどの視覚的な要素を併用することで、抽象的な概念や複雑なプロセスを理解しやすくなります。
デュアルコーディング学習法の強みは、特に視覚的に記憶する力が強い学習者に適している点です。たとえば、司法書士試験のように法律の条文や手続きの流れを覚える際、言葉だけではなく、図解やマインドマップを用いることで、記憶に定着しやすくなります。
2. マルチプルコーディング学習法(Multiple Coding Learning)
マルチプルコーディング学習法は、デュアルコーディングの原則をさらに拡張し、五感を最大限に活用することで記憶を強化する学習法です。この方法は、情報をただ視覚と聴覚に頼るだけでなく、触覚、聴覚、視覚などを含む全身の感覚を動員することで、記憶の多重化を図ります。
具体的には、以下のような方法が有効です。
聴覚を活用する: 問題文を目で読みながら、音声で内容を聞くことによって、視覚情報と聴覚情報が同時に記憶に残ります。耳からの入力が加わることで、記憶の回路が増加し、理解が深まります。
実際に書き込む: 穴埋め問題や短文の記述問題に答えを実際に手で書き込む行為も記憶を強化します。手を使うことで、触覚が関与し、情報の記憶がより深く、持続的なものとなります。
感情や動きの利用: たとえば、特定のフレーズや内容に対して感情を関連付けることで、その情報を感情的な記憶と結び付け、より強く記憶に残すことができます。また、学習中に身体を動かすことで、体験が記憶に結びつきやすくなります。(前にお話しした自己プレゼンです。)
3. 司法書士試験への応用(実体験)
司法書士試験は、大量の法律知識を正確に記憶し、それを応用して問題を解決する力が求められます。このような試験において、単純に読むだけでは不十分であり、さまざまな感覚を使って記憶を定着させることが重要です。そこで、マルチプルコーディング学習法を取り入れた具体的な方法について以下に紹介します。
音声教材を活用する: テキストの内容を音声にして聴くことで、通勤や移動時間中でも学習が可能になります。文章を読んで記憶するだけでなく、耳からも同時にインプットすることで、記憶の多重化を図りました。また、自分で朗読して試行することも大事です。黙読は朗読を基にできていると考えます。朗読が早くなれば、おのずと黙読も早くなり、「全肢検討」実現に向けて前進できます。
穴埋め問題に実際に書き込む: 試験対策の一環として、問題集を使いながら、選択肢をただ選ぶだけでなく、解答を実際に手で書き込むことを意識しました。手を動かすことによって、記憶が視覚と触覚に刻まれ、長期的な定着が促進されました。
動きを加えた学習: 司法書士試験のような長時間にわたる学習では、集中力を持続させることが難しいため、定期的に立って歩きながら要点を復唱するなどの動きを取り入れることで、身体を動かしながら学習を進めました。こうした動作と学習内容を結びつけることで、内容がより深く頭に残りやすくなりました。自己プレゼンと同じですが、お題を何か決めて、そこから深堀していくような感じです。感情や動きを伴ってたどりますので、思い出せた知識は記憶に定着しやすくなります。
4. デュアルコーディングとマルチプルコーディングの相互補完性
デュアルコーディングとマルチプルコーディングの両者は、学習の場面で相互補完的に活用することが可能です。デュアルコーディングが視覚と言語という二つの感覚に焦点を当てているのに対して、マルチプルコーディングはさらに広範な感覚を活用し、情報を多面的に処理します。
たとえば、司法書士試験の学習においては、次のように応用できるでしょう。
視覚と聴覚の統合: 教科書や資料を読みながら、同じ内容の音声を並行して聴くことで、視覚と聴覚を同時に使い、記憶の強化を図る。
実際の動作と記憶の関連付け: 重要な条文や法律の規定を、声に出して読み上げながら、手で書き写す行為を繰り返す。これにより、学習の視覚、聴覚、触覚を連動させて記憶を強化する。
感情を利用した記憶: 難しい概念や覚えにくい部分に感情的な要素を関連付けることで、情報の定着を高める。たとえば、複雑な手続きの流れを覚える際に、自分にとって重要なケーススタディを設定し、それに基づいてストーリー化して記憶する方法などが有効です。(これ自己プレゼンです)
5. まとめ
デュアルコーディング学習法とマルチプルコーディング学習法は、どちらも学習において非常に有効なアプローチであり、特に難解な試験や膨大な情報を記憶する必要がある場合に有効です。視覚と聴覚を組み合わせるデュアルコーディングは効率的な情報処理を可能にし、さらに五感を活用するマルチプルコーディングを加えることで、記憶を多層的に強化できます。司法書士試験のような難関資格に挑戦する際には、これらの学習法を柔軟に取り入れることで、効果的に知識を定着させることができるでしょう。はじめのうちは、デュアルコーディングで、ある程度知識ができた段階で、自己プレゼンなどのマルチプルコーディング学習に移行するといいと思います。
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