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(論点)エンディングノートと遺言書(今後のことと人生の棚卸)

2024年07月29日

お客様には「さあ、遺言書を作りましょう」と言ってはいるものの、作成には、家族関係やそのご本人の背景的なことを外しては、作成できません。財産を分けるにも、それなりの理由が必要ですし納得していないと、安心するはずの遺言書作成が無意味になってしまいます。そこで先日、一般社団法人四国ライフエンディング協会・株式会社人生百年サポート主催の「エンディングノートの勉強会」に参加しました。その内容を踏まえ、エンディングノートの効果をお話したいと思います。

目次

1.エンディングノートと遺言書:今後のことと人生の棚卸

2.なぜエンディングノートをはじめに設定すべきと考えるようになったのか

3.エンディングノート:人生の棚卸と今後のこと

4.遺言書:法的効力を持つ意思表示

5.まとめ


1.エンディングノートと遺言書:今後のことと人生の棚卸

 エンディングノートと遺言書は、人生の終わりを見据えた計画と、その実現のための法的手段を提供する重要なツールです。エンディングノートは、自分の人生を振り返り、今後のことを家族や友人に伝えるためのものであり、遺言書はその意思を法的に実行するためのものです。以下では、エンディングノートと遺言書の役割や作成方法、注意点について詳しく説明します。

2.なぜエンディングノートをはじめに設定すべきと考えるようになったのか

 エンディングノート作成のセミナーに参加させていただき、意外にもエンディングノートの効力を目の当たりにして、遺言書でいきなり自分の意思をまとめるのではなく、エンディングノートで一度人生の棚卸をしてから、その後の相続についての遺言書を考えると、私自身、スムーズに遺言書の内容を決めることができました。まるで、エンディングノートが遺言書を作るための「潤滑油」のような働きを体験したわけです。そこで、エンディングノートについて少しお話をしたいと思いました。

3.エンディングノート:人生の棚卸と今後のこと

エンディングノートの目的

エンディングノートは、人生の振り返りと今後の意思を明確にするためのものです。具体的には、自分の生い立ちや家族構成、経歴、趣味、友人関係などを記録し、自分がどのように生きてきたかを振り返ります。また、自分が大切にしている価値観や信念、最後に伝えたいメッセージ、葬儀の希望、財産の分配などを記載します。

エンディングノートの内容

エンディングノートの内容は、個人の自由に任されていますが、以下の項目が一般的に含まれます:

個人情報:名前、生年月日、住所、連絡先、家族構成

人生の振り返り:生い立ち、学歴、職歴、趣味、特技、友人関係

健康情報:病歴、現在の健康状態、かかりつけ医の情報

資産情報:銀行口座、保険、年金、証券、不動産、負債

終末期の希望:延命治療の希望、臓器提供の意思、介護の希望

葬儀の希望:葬儀の形式、場所、喪主、宗教、戒名

遺言書の有無:遺言書の場所、内容の概要

メッセージ:家族や友人への最後のメッセージ、感謝の言葉

エンディングノートの作成と保管

エンディングノートは、書店やインターネットで購入できる専用のノートを使用するか、自分で作成することも可能です。内容を定期的に見直し、最新の情報を反映させることが重要です。また、エンディングノートは法的効力を持たないため、家族や信頼できる人に存在を知らせ、適切に保管しておくことが大切です。

4.遺言書:法的効力を持つ意思表示

遺言書の役割

遺言書は、エンディングノートで示した意思を法的に実行するための文書です。遺産の分割方法や財産の管理者、未成年の子どもの後見人、葬儀の方法など、具体的な指示を法的に拘束力のある形で残すことができます。遺言書を作成することで、相続人間のトラブルを防ぎ、自分の意思を確実に実現することができます。

遺言書の種類

遺言書には、主に以下の3種類があります:

自筆証書遺言:本人が遺言の全文、日付、署名を自筆で書き、押印します。費用がかからず、手軽に作成できますが、形式の不備や紛失のリスクがあります。

公正証書遺言:公証人が遺言者の意思を聞き取り、公正証書として作成します。公証人役場で保管されるため、紛失の心配がなく、法的に確実です。費用がかかりますが、最も信頼性の高い方法です。

秘密証書遺言:本人が遺言書を作成し、署名押印した後、公証人と証人の前で封印して保管します。遺言の内容を秘密にできる一方で、形式不備のリスクがあります。

遺言書の作成と保管

遺言書を作成する際には、以下の点に注意する必要があります:

形式要件の遵守:遺言書の形式要件を厳守することが重要です。不備があると無効となる可能性があります。

専門家の助言:弁護士や司法書士に相談し、適切な内容と形式で遺言書を作成することをお勧めします。

保管方法:自筆証書遺言の場合、遺言書保管制度を利用して法務局で保管するか、信頼できる人に預けると良いでしょう。公正証書遺言は公証人役場で保管されるため、安心です。

エンディングノートと遺言書の連携

エンディングノートと遺言書は、互いに補完し合う関係にあります。エンディングノートで自分の思いや希望を整理し、遺言書でその意思を法的に実行することで、総合的な人生設計を実現できます。具体的には、以下のように連携させると効果的です:

エンディングノートの活用:エンディングノートで示した希望や思いをもとに、遺言書の内容を具体化します。特に、財産分与や葬儀の希望など、法的に重要な事項を明確にします。

遺言書の見直し:エンディングノートの内容を定期的に見直し、遺言書の内容も必要に応じて更新します。家族状況や財産状況の変化に応じて、遺言書を最新の状態に保つことが重要です。

家族とのコミュニケーション:エンディングノートを通じて家族に自分の意思を伝え、遺言書の存在と内容についても理解を得るよう努めます。事前に家族との話し合いを行うことで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

5.まとめ

 エンディングノートと遺言書は、人生の最終段階における意思を明確にし、その実現を法的に保障するための重要なツールです。エンディングノートで自分の思いや希望を整理し、遺言書でその意思を法的に実行することで、家族に安心と信頼を与えることができます。以下のポイントに注意して、エンディングノートと遺言書を効果的に活用しましょう:

エンディングノートで人生を振り返り、今後のことを整理する。

遺言書を作成し、法的効力を持たせる。

専門家の助言を受け、適切な形式で遺言書を作成する。

エンディングノートと遺言書を連携させ、総合的な人生設計を行う。

家族とのコミュニケーションを大切にし、意思を共有する。

 これらの手順を踏むことで、安心して人生の最終段階を迎えることができ、家族に対しても負担を軽減することができます。

 そうなんです。皆、なぜ遺言書を作成するのかというと「安心」が欲しいわけです。遺言書にも「付言事項」といって、法的効力は及ばないものの、家族への想いなどを残せるようにはなっていますが、長文で書かれている者は見たことがありません。家族への想いや自分の考えなどは、まずはエンディングノートにしたため、その後、遺言書を作成することで円滑に進められると感じました。

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