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(論点)実家の相続手続についての注意点

2024年07月12日

相続人の方が、すでに別所帯を持っており、実家をどのようにすればいいのか、悩まれている方も多いと思います。今回は、実家の相続手続きをする際の注意点についてお話をしたいと思います。

目次

1. 相続手続きの基本的な流れ

2. 相続手続きにおける注意点

3. 実家の相続における特有の注意点

4. 専門家の活用

5. まとめ


1. 相続手続きの基本的な流れ

 実家の相続手続きは、以下のような一般的なステップを経て進められます。

①相続の開始:被相続人(親など)が死亡した時点で相続が開始されます。

相続人の確定:戸籍謄本などを用いて法定相続人を確定します。被相続人に子供がいない場合、両親や兄弟姉妹など、関係者全員の確認が重要です。

遺産の調査・評価:遺産のリストアップと評価を行います。具体的には不動産、預貯金、株式、負債などを含みます。

遺産分割協議:相続人全員で遺産の分割方法を協議し、合意を得ます。合意内容は遺産分割協議書に記載します。

➄相続税の申告・納付:基礎控除を超える遺産がある場合、相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告と納付を行います。配偶者控除(1億6千万円)を適用する場合も、申告が必要です。

⑥登記・名義変更:不動産の登記名義変更や金融機関での名義変更を行います。

2. 相続手続きにおける注意点

(1)相続人の調査

相続人の漏れがないか確認: 戸籍謄本を遡って確認し、すべての相続人を確定することが重要です。特に、兄弟姉妹が多い場合や複雑な家族構成の場合、相続人の漏れが起きやすいため、注意が必要です。

(2)遺産の調査

遺産の把握: 実家の不動産以外にも、預貯金や株式、負債など、すべての遺産を漏れなく調査することが大切です。遺産が複数の地域に分散している場合や、海外に資産がある場合は特に注意が必要です。

(3)遺産の評価

不動産評価の方法: 実家の不動産評価には、公示価格や固定資産税評価額、相続税評価額などの評価基準があり、それぞれ異なるため、正確に把握することが求められます。評価額が不適切だと、相続税額や分割協議に影響を及ぼす可能性があります。相続税のための評価については、税理士に確認が必要です。また、不動産登記の基準は、その年度の固定資産税評価証明書又は納税通知書に記載のある、評価額が基準になります。納税通知書の場合は、固定資産税が課税される不動産のみの記載しかありませんので、相続の場合には、固定資産税の評価証明書を取得することが必要となります。

(4)遺産分割協議

全員の合意が必要: 遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。特に実家のような大きな財産は分割が難しく、意見の対立が生じやすいです。話し合いが難航する場合は、第三者の専門家(弁護士、税理士など)の助けを借りることが有効です。

(5)相続税の申告と納付

申告期限を守る: 相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告と納付を行う必要があります。期限を過ぎると、延滞税や加算税が課されるため、注意が必要です。

節税対策: 生命保険金の非課税枠や配偶者控除など、節税対策を検討することも重要です。専門家のアドバイスを受けて、適切な節税対策を講じることが求められます。

(6)不動産の登記と名義変更

速やかな名義変更: 不動産の名義変更は相続手続きの中でも特に重要です。名義変更を怠ると、後々の売却や担保設定に支障が生じる可能性があります。相続人の同意が得られない場合や、遺産分割が未決定の場合は、遺産分割調停・審判を行うことも検討します。

(7)遺言書の確認

遺言書の存在確認: 被相続人が遺言書を残している場合、遺産分割の際にその内容が優先されます。公正証書遺言、自筆証書遺言などの遺言書が残されている可能性があるため、遺言書の存在を確認します。

遺言書の検認: 自筆証書遺言の場合、家庭裁判所での検認手続きが必要です。検認を経ずに開封すると過料が発生するため、注意が必要です。

3. 実家の相続における特有の注意点

①不動産の評価と分割

共有名義のリスク: 実家の不動産を共有名義で相続すると、売却や利用に関する意思決定が難しくなることがあります。将来的なトラブルを避けるため、共有名義はできるだけ避け、一人の相続人が取得するか、売却して現金で分配する方法を検討します。

代償分割の検討: 実家を一人の相続人が取得する場合、他の相続人に対して代償として現金などを支払う「代償分割」を検討することが有効です。これにより、公平な相続が可能になります。

➁空き家の管理と処分

空き家問題の対策: 実家が空き家になる場合、適切な管理が求められます。空き家の管理が不十分だと、固定資産税が増加する可能性や、近隣に迷惑がかかる場合があります。売却や賃貸、解体など、空き家の活用方法を検討します。実家に思い入れがあり、地元の管理会社に管理をお願いした場合、高額な管理費用を請求される場合があります。処分で検討された方がいいと思います。

固定資産税の確認: 空き家の状態によっては、固定資産税の特例措置が適用されない場合があるため、現地の税務署や市区町村に確認します。

③住宅ローンの確認

ローンの残高確認: 実家に住宅ローンが残っている場合、残高を確認し、返済方法を検討します。返済が難しい場合は、売却してローンを完済するか、相続放棄を検討します。

4. 専門家の活用

(1)弁護士や司法書士の相談

法律問題の解決: 相続人間でのトラブルや遺産分割の協議が難航した場合、弁護士の助言を受けることが有効です。法的な観点から適切なアドバイスを得ることで、円滑な手続きを進めることができます。

(2)税理士の活用

相続税の申告と節税: 相続税の申告が必要な場合、税理士に依頼することで、正確な申告が可能になります。また、節税対策についても専門的なアドバイスを受けることができます。

(3)不動産鑑定士の利用

不動産の正確な評価: 実家の不動産評価が複雑な場合、不動産鑑定士に依頼して正確な評価を行うことが推奨されます。正しい評価に基づく相続手続きが可能になります。

5. まとめ

 実家の相続手続きは、法的な手続きや税金、不動産の管理など、多岐にわたる問題が絡み合うため、慎重な対応が求められます。相続人全員が協力し、適切な専門家の助けを借りながら進めることが、円滑な相続手続きの鍵となります。事前に十分な情報を収集し、計画的に対応することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

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