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令和7年1月15日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
成年後見制度は、高齢者や認知症患者、精神障害者など判断能力が低下した人々を法的に保護するための制度です。この制度には「任意後見」と「法定後見」の2種類があります。また、成年後見制度の利用状況と市民後見人についてもお話をしたいと思います。
目次
1.任意後見
2.法定後見
3.利用率と裁判統計から見る現状
4.市民後見人の役割と課題
5.結論
1.任意後見
任意後見は、本人がまだ判断能力がある段階で、将来に備えて信頼できる人物を後見人として選び、任意後見契約を結ぶ制度です。契約内容には、後見人が将来、本人の生活、財産管理、医療に関する意思決定を代行することが含まれます。この契約は、公証役場で公正証書として作成され、本人の判断能力が低下した際に、家庭裁判所に申請して正式に後見が開始されます。
任意後見のメリットは、本人の意向を最大限に反映できる点にあります。本人が信頼する人物を選ぶことで、後見人に対する安心感が得られ、財産の管理や医療に関する決定がスムーズに行われる可能性が高まります。
2.法定後見
法定後見は、すでに判断能力が低下している場合に、市町村長や親族などからの申し立てにより家庭裁判所が後見人を選任する制度です。法定後見には、後見、保佐、補助の3種類があり、それぞれの対象者の判断能力に応じて後見人の権限が異なります。後見人は、本人の生活や財産管理、契約の締結などに関する意思決定を代行します。
法定後見の選任プロセスでは、家庭裁判所が後見人を選定しますが、本人や親族が希望する人物が選ばれるとは限りません。そのため、後見人の選任に関しては、しばしば家族内での意見の相違や法定後見人に対する不満が生じることがあります。勿論、専門家が選任された場合、その報酬が発生し、それは現行制度ですと、本人が亡くなるまで発生することになります。
3.利用率と裁判統計から見る現状
成年後見制度の利用は年々増加しており、特に法定後見の利用が目立ちます。家庭裁判所の統計によれば、後見に関する申立件数は過去10年間で着実に増加しており、2023年には年間で約4万件に達しました。このうち、任意後見の利用は全体の約10%に留まっており、圧倒的に法定後見の利用が多い状況です。
法定後見が主流となっている背景には、本人や家族が判断能力の低下に早期に気づかず、任意後見契約を締結するタイミングを逃してしまうケースが多いことが挙げられます。また、任意後見契約の締結には公証役場での手続きが必要であり、その手続きの煩雑さや費用が利用のハードルとなっている可能性も考えられます。
また、市町村長による申し立てが圧倒的に多くなってきています。これは、いままで介護度の確認などで契約当事者として、親族相手でも慣習として行っていたところ、だんだん厳しくなり、本人相手で介護度の確認をするにあたり認知症発症している可能性が高い場合、法定後見制度を利用して、後見人(法定代理人)として本人に代わって契約するように厳格化されてきているからだと考えられます。
4.市民後見人の役割と課題
市民後見人は、専門家ではなく、市民が後見人として家庭裁判所に選任される制度です。市民後見人の導入は、高齢化社会に対応するための重要な施策とされています。特に、家族や親族がいない、または親族間で後見人を務めることが難しい場合に、市民後見人が重要な役割を果たします。
しかし、市民後見人の利用には課題もあります。まず、後見業務に関する専門知識や経験が不足しているため、十分な支援を提供できない可能性があります。また、市民後見人の育成や支援体制の整備が十分でないため、安定した後見業務を行うための環境が整っていない場合があります。そのため、市民後見人の質を高めるための研修制度やサポート体制の強化が急務とされています。
5.結論
成年後見制度は、判断能力が低下した人々の権利を保護するための重要な制度です。任意後見と法定後見の選択肢があることで、個々の状況に応じた保護が可能となりますが、現状では法定後見が主流となっています。また、市民後見人の導入は、社会的な需要に応える重要な施策である一方で、その運用には改善の余地が残されています。
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