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33:遺言書の特別受益の持ち戻し免除と遺留分侵害額請求

2024年02月07日

先日の相談で、遺言書に「特別受益の持ち戻し免除」の条項を入れると、遺留分対策になるのかという質問を受けました。

 確かに、遺言書に「特別受益の持ち戻し免除」条項を盛り込むことで、遺産分割協議の際に、生前贈与された当該財産については、遺産への持ち戻しをしなくてもよくなります。がしかし、遺留分侵害額請求 を侵害することはできません。遺留分とは、相続人に残された主張できる権利であるため手厚く保護されています。ただし、民法1044条3項

「(民法1044条)

 1項 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

 2項 第九百四条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。

 3項 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。 」

とあります。

 つまり、第三者への贈与の場合、相続発生前の1年間、推定相続人への贈与の場合、相続発生前10年間の財産が、遺留分侵害額算定の基準となる財産の範囲となります。相続人への生前贈与であっても、10年経過していれば、遺留分侵害額請求をしたとしても、対象の財産とはなりません。

 早めの生前贈与を提案いたしました。