平日9時~18時 土10時~15時 時間外対応可能

(FAQ)いまさら聞けない遺言書について

2024年10月31日

自筆証書遺言と公正証書遺言は、遺言書を作成する際の代表的な方法です。どちらも法的効力を持ちますが、作成手続きや取り扱いに違いがあります。この記事では、これら2つの遺言書についてFAQ形式でその特徴や違いを解説します。

目次(質問)

Q1: 自筆証書遺言とは何ですか?

Q2: 公正証書遺言とは何ですか?

Q3: 自筆証書遺言と公正証書遺言の大きな違いは何ですか?

Q4: 自筆証書遺言を作成する際の注意点は何ですか?

Q5: 公正証書遺言を作成するための手続きはどうなりますか?

Q6: 自筆証書遺言を保管するための制度はありますか?

Q7: 遺言の作成には費用がかかりますか?

Q8: 証人は必要ですか?

Q9: どちらの遺言を選ぶべきですか?

Q10: どちらの遺言でも内容を変更したり、撤回することはできますか?


Q1: 自筆証書遺言とは何ですか?

A1: 自筆証書遺言とは、遺言者が自分で遺言内容をすべて手書きで記載した遺言書です。形式が簡便で、費用もかからないため、手軽に作成できる点が特徴です。しかし、法的要件を満たさない場合は無効になる可能性があり、遺言内容が法的に有効であるか確認するための専門知識も必要となる場合があります。

Q2: 公正証書遺言とは何ですか?

A2: 公正証書遺言とは、遺言者が公証人役場で公証人に遺言内容を口述し、公証人がその内容を文書にして作成する遺言書です。公証人が関与するため、遺言の内容が法律に沿ったものであることが確認され、無効になるリスクが低く、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配も少ないです。

Q3: 自筆証書遺言と公正証書遺言の大きな違いは何ですか?

A3: 大きな違いは作成手続きと安全性です。

㋐自筆証書遺言は、遺言者が一人で作成できる反面、書式や内容に誤りがあれば無効になる可能性があり、保管方法にも注意が必要です。また、遺言者の死後に家庭裁判所での「検認」という手続きが必要です。

㋑公正証書遺言は、遺言作成時に公証人が法的に適正かどうか確認し、さらに原本が公証役場に保管されるため、無効や紛失のリスクが低く、検認手続きが不要です。

Q4: 自筆証書遺言を作成する際の注意点は何ですか?

A4: 自筆証書遺言を作成する際は、以下の点に注意する必要があります。

①全文を自書:遺言者が遺言書の全文を手書きで書かなければなりません。パソコンや代筆は無効です。

➁日付を明記:日付を明記しなければ無効となります。具体的な日付を書く必要があり、「○月○日」や「吉日」といった曖昧な表現は避けるべきです。

③署名・押印:遺言者自身の署名と押印が必要です。印鑑は認印でもよいですが、実印を使うことが一般的です。

Q5: 公正証書遺言を作成するための手続きはどうなりますか?

A5: 公正証書遺言を作成するには、次の手順を踏みます。

①遺言の内容を事前に考え、公証人役場に相談します。

➁公証人と打ち合わせを行い、必要書類を準備します(遺言者の本人確認書類、不動産の登記簿謄本、相続人の戸籍謄本など)。

③公証人役場で遺言者が口述し、公証人が内容を文書化します。

④遺言者と証人2名の立会いのもと、遺言書を確認し署名します。公証人が原本を保管し、遺言者には正本と謄本が渡されます。

Q6: 自筆証書遺言を保管するための制度はありますか?

A6: 2020年7月より、「自筆証書遺言書保管制度」が導入されました。法務局で自筆証書遺言を保管してもらうことができ、遺言書の紛失や改ざんのリスクを減らすことができます。この制度を利用した場合、遺言者の死後に家庭裁判所での検認が不要になります。

Q7: 遺言の作成には費用がかかりますか?

A7:

自筆証書遺言の場合、基本的に費用はかかりません。ただし、内容の確認や作成にあたって専門家に依頼する場合は、相談料や報酬が発生することがあります。

公正証書遺言の場合、手数料がかかります。手数料は遺言の内容や遺産の額によって異なり、不動産や金融資産などの財産額が大きいほど高額になります。また、証人を依頼する場合の謝礼も別途必要です。

Q8: 証人は必要ですか?

A8:

自筆証書遺言の場合、証人は不要です。ただし、保管や信頼性の面では慎重に取り扱う必要があります。

公正証書遺言の場合は、2名の証人が必要です。証人には相続人やその配偶者、直系血族(親、子)など特定の立場の人はなれないため、第三者を依頼することが一般的です。

Q9: どちらの遺言を選ぶべきですか?

A9: 自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選ぶかは、状況や遺言者の意向に応じて決めると良いでしょう。

自筆証書遺言は手軽で費用もかからないため、簡便に遺言を残したい場合に適しています。ただし、法的な不備がないか注意が必要です。

公正証書遺言は、公証人が作成に関与するため、内容が確実に有効である点が強みです。また、遺言書が公証役場に保管されるため、信頼性が高く安心です。財産が複雑であったり、相続人同士のトラブルが懸念される場合には公正証書遺言を選ぶことが推奨されます。

Q10: どちらの遺言でも内容を変更したり、撤回することはできますか?

A10: はい、どちらの遺言も遺言者が生存中であれば、いつでも内容の変更や撤回が可能です。ただし、新しい遺言書を作成した場合は、以前の遺言書と矛盾しないよう注意する必要があります。また、公正証書遺言の内容を変更する場合は、再び公証人の手続きを経る必要があります。

自筆証書遺言と公正証書遺言には、それぞれの利点と課題があります。自身の財産や家族の状況に応じて、適切な形式を選びましょう。どちらの形式でも、遺言書が有効であるためには、法律の要件を満たしていることが重要です。専門家のアドバイスを受けながら作成することをお勧めします。

最新のブログ記事

自筆証書遺言と公正証書遺言は、遺言書を作成する際の代表的な方法です。どちらも法的効力を持ちますが、作成手続きや取り扱いに違いがあります。この記事では、これら2つの遺言書についてFAQ形式でその特徴や違いを解説します。

2024年4月1日から施行される「相続登記義務化」は、相続による不動産の所有権移転登記が義務化される制度です。この制度は、相続によって生じる不動産の権利関係を明確化し、所有者不明土地の発生を防ぐために導入されました。この記事では、相続登記義務化に関するFAQ形式で、その概要とポイントをまとめます。

相続が発生した際、遺産は法定相続人によって分割されますが、その中でも「遺留分(いりゅうぶん)」という法的に保護された最低限の相続分が重要な役割を果たします。遺留分は、被相続人(亡くなった方)が遺言などで特定の相続人や第三者に全財産を譲渡しようとした場合でも、法定相続人が最低限保証される相続権を持つ仕組みです。これにより、家族の経済的な保護を図ることが目的とされています。本記事では、法定相続人と遺留分の関係について詳しく解説します。